ダブル王子さまにはご注意を!
「いや……」
それだけ素っ気なく返してきた一樹は、私の方をちらっと見ただけですぐに目を逸らす。む、なんか愛想悪いぞ! と鼻をつまんであげた。
「こら、なにスルーしようとしてんのよ。郁美のこと気にならないの?」
「郁美なら、専任のSSがついてる」
「は? えすえす? なにそれ」
聞きなれない言葉に目を瞬くと、一樹は真面目な顔つきで振り向いた……鼻をつままれたまま。
「シークレットサービスだ。専門の訓練を受けた護衛――」
一樹がそう話した途端、パン! と何かがはぜる音が響く。何かと前を見れば、近くの素焼きの鉢が砕け散ってた。
「え……なに? 何が起きたの!? きゃっ」
目の前で起きたことが信じられなくて近づこうとすれば、いきなり一樹に腕を引かれる。そして、そのまま頭を押さえられて低い体勢を取らされた。
再び、パン! と短い音が響く。爆竹に似た音だけど、違いは音がかなり反響するってこと。また、近くのものが壊れた。
普通じゃない。そう思った私は、早乙女さんと郁美の様子が気になって二人のいる方を見た。すると、白衣を着た人が二人を誘導し物陰に隠れる。手に持ったものは……まさか、まさかの銃?
(え、あれ……玩具でしょ。 こんな民間病院で……あり得ないよ)