ダブル王子さまにはご注意を!
「ちょっ……一樹、一体何が起きてるの?」
「シッ、黙ってろ」
一樹は私の唇に人差し指を立て、静かにと注意をしてきた。
「……ここで騒ぎにする訳にはいかない。民間人が巻き込まれてまうからな」
「……民間人て……」
あんたもそうじゃないの? と言いたいけど、今はそれどころじゃない。確かに一樹の言うことももっともで、騒げば誰かが駆けつけるだろうけど。 その人が危険な目に遭ってしまう。
「まさか……だけど。銃撃……じゃないよね?」
白衣の人が持ってた武器から、恐れていたこと。それを一樹にぶつければ、彼は否定も肯定もしなかった。
「……今はこの場から無事に切り抜けることだけを考えろ」
それだけをポツリと告げた彼は、私の背中にスーツのジャケットをかけた。
「これを着れば多少闇に紛れることができる。今から照明を落とすから、玄関まで一気に走れ」
一樹はワイシャツの上に着けていた肩のベルトの小さなホルダーを開く。
手に持ちカチリ、と小さな音を立てたもの――無骨に光る金属製のそれは、紛れもなく拳銃だった。