ダブル王子さまにはご注意を!





「あなたを危険な目に遭わせてしまいました。申し訳ありません」

「…………」


その日更に夜遅くなってから、夏樹がお見舞いに来た。


てか、一般病棟の面会時間は確か8時までのはずだし、消灯は10時なんだけど。今は夜の11時過ぎ。 これだけ融通がきくのは、やっぱり王家の人間だったからか……と妙に冷めた頭で考えた。


最初から胡散臭い笑顔の夏樹はともかく、一樹すら自分達の正体というか正式な身分を明かしてくれなかったのは、信頼されてなかったからだ……と少なからずショックを受けてた。


そりゃ、トップシークレットなら隠すのも当然だけど。計画の当初から2ヶ月近く一緒に暮らす予定だった相手なのに。ちらっとでも職業やほんとの立場について情報を与えてくれなかった。自分がそれだけの存在だったと理解するのは、ほんとの気持ちを自覚した身からすれば辛いもの。


結果的に夏樹にもよそよそしい態度しか取れなかった。


「……それはどうも」

「どうしました? お元気なさそうですが。やはり事件がよほどのショックでしたか?」

「…………」


夏樹の思いやる言葉も白々しく耳を通り過ぎていく。こいつも結局、私もその他大勢と同じ。モブかなんかでどうでもいい存在なんだろう。たまたまその場にいたから巻き込んだだけで……。


だから、もうどうでもよくてため息と共に本音が出た。


「……わざとらしく心配するふりなんてもういらない。てか、いい加減明日には退院するから。マンションには戻らないから、悪いけど荷物は宅配で送って」


< 128 / 235 >

この作品をシェア

pagetop