ダブル王子さまにはご注意を!
「それは困りますね」
叩かれた手を擦りながら、夏樹は困ったように笑うけど。なぜか、それは冷え冷えとして――背中が寒くなりそうなものだった。
「勝手にぼくの目の前から居なくなられては困ります」
「勝手に……って。そんなの! 第一、あんたたちと私は何の関係もない赤の他人でしょ。自国じゃ王子様かもしれないけど、ここは日本だから。権力でどうにかなると思わないで。なんかあったら警察に駆け込むから」
「他人……確かに今はそうですね。このままでは真由理とぼくの間に何の関わりもなく、国に帰れば縁は切れてしまう」
「切れるもなにも、最初から何もなかったでしょ。だいたい、郁美や日下部刑事ってあんたたちの過去を知る人間がいるんだから。私が協力する意味なんて……」
ふ、と言葉が途切れた。
あり得ないことが起きて、頭が真っ白になる。
唇に感じた生暖かいものが……夏樹の唇だと。彼にキスをされたんだ、と理解したときにはもう離れてて。
だけど、ショックのあまりに頭が動かずに。夏樹の笑顔をぼんやりと見上げる。
「……離すわけないでしょう、あなたは僕の太陽なのに」