ダブル王子さまにはご注意を!
「あんた、確か最初に下手くそな絵を見せてきたよね? まさかあれを描いたのは……」
「もちろん、あなたですよ。真由理」
そう告げた夏樹は、ポケットから折り畳んだ画用紙を出してベッドの上に広げる。
相変わらず今見ても下手くそ。まぁ、幼稚園児が描いたものだから芸術とは程遠いのは仕方ないけど。
「……全然記憶にないわ」
「仕方ないでしょう。あなたも辛い目に遭いましたから」
「私“も”?」
母さんの話と情報が被る。私が3つか4つの頃に入院した……ってことと。
けど、一樹が記憶を失ったのは6つのころ。時差がありすぎて矛盾する。
「ねえ、何があったの? 私と一樹に。ちゃんと話して」
「……………」
いつもなら余計なことまでべらべら喋るくせに、こんな時に限って夏樹は口を閉ざした。
「……もう、なんなのよ! なんでみんな教えてくれないわけ!? 私だって当事者なら知る権利くらいあるでしょう」
イライラしてまたベッドサイドを殴ると、余計に痛くて手をぶらぶらさせた。そんな私に、夏樹は淡々と言う。
「仕方ないことです。それこそトップシークレット……国を揺るがしかねない事件でしたから。一般人のあなたに明かす訳にはいかない」