ダブル王子さまにはご注意を!



この写真の女の子は……夏樹だった。


「そっか、そっか……それじゃあ幼稚園で仲よく遊んだんだね」

「あら、違うわよ。あんたあの坂の上の児童公園と駄菓子屋さんで遊んでたでしょ」

「え……」


さらにあっさりとお母さんは重要な情報を喋ってくれた。お母さん……いろんな意味で心配になるわ、その単純な性格。職場で乗せられ余計な仕事押し付けられてない?


「そっか……私と友達だったんだナツキちゃんは……」


入園式の写真を眺めてみるけど、よくよく見れば確かに面影がある。なんで女の子として暮らしてたか、なんて今だったら危険を避けるためと判る。


でも、この写ってるのはどちらなんだろう?


私は、なんとなく夏樹じゃないような気がした。


夏樹だったらもっと愛想よく笑顔で……


ドキン、と心臓が嫌な音を立てる。


たった数日前にあったプロポーズ……断り続けているのに、夏樹は決してあきらめてはくれなかった。


今は、毎日毎日お見舞いにやって来る。


ほら、今だって――。


「まぁ、幸村さん」

「こんにちは、小百合さん。今日もお美しいですね。新しく染めたカラーがよくお似合いですよ」

「ま、まぁ……職場では誰にも気付かれなかったのに……」


こら、母よ。いい年して息子くらい年の差がある男に頬を染めるな! 頼むから!!


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