ダブル王子さまにはご注意を!
「お~い、真由理ぃ。生きてるか~い?」
今日は千客万来らしい。予告はあったけど、ジャストタイミングで香織がお見舞いに来てくれた。
彼女はちょうど仕事の為に上司と1週間ばかり出張してた。だから、これが入院して初めての対面になる。
「よ、カオ! 生きてて悪かったね~」
二人でパシンと両手でハイタッチ。私たちなりの友情確認方法だ。
「まあ、香織ちゃんよく来てくれたわね」
「小百合さんこんにちは~大したもんじゃないけど、これ」
香織が差し出したのは懐かしいケーキ屋の紙箱。近所にあってワッフルが絶品なんだよね。
「ま、ありがとうね。じゃあさっそくみんなでいただきましょうか。今お茶を用意するわ」
「小百合さん、僕が用意しますから座っていてください。お仕事でお疲れでしょう」
さりげなく紙箱を奪った夏樹がそう言えば、またお母さんは頬を染める……お~い。
「まあ、でも……あなたもお客様なのに」
「いいんじゃない? 今じゃ男女関係なくやりたい人にやらせれば」
折りたたみ椅子の上で美しいおみ足を組み、香織が貫禄のある笑顔でおっしゃいまして。
「そうです。ここは僕に任せてください。みなさんは飲み物のリクエストありますか?」
夏樹は欲しい飲み物だけでなく、淹れ方や温さまで細かく訊いてから給湯室へ向かった。