ダブル王子さまにはご注意を!



「けど、ねえ……」


お母さんは立ったまま、なぜか顔を曇らせた。


「確かに、親として娘にはしあわせになって欲しいよ。幼稚園の時に離婚して……あんたたちには寂しい思いさせてしまった自覚はあるからね」

「お母さん……」


やっぱり、お母さんはずっと気にしてたんだな。母子家庭で苦労してたのはお母さんの方なのに、お父さんの役割まで担おうとしてくれてたのは知ってる。


「そんなことないよ! 私には香織も梨花もいたし。そりゃ寂しくなかったなんて言わないけど……お母さんが頑張ってくれたから、ここまで育って大人になれたんだから。感謝こそすれ不満になんて思うことは全然ないって」


むしろ、お母さんは私たちからそろそろ解放されて自由に生きて欲しいと思う。離婚してから20年一人で頑張ってきたんだから、もう好きなことをして人生を謳歌してほしいよ。


私が素直な気持ちを告げれば、お母さんはそっと目頭を押さえた。


「真由理……ありがとう。あんたもそんなふうに言ってくれるなんて。母ちゃんはしあわせだよ、優しい娘ばかりで」


お母さんの言葉から、やっぱり妹も同じことを言ったんだなって血の繋がりを感じた。


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