ダブル王子さまにはご注意を!
赤い宝石はどう見てもガラスとかのイミテーションで、台座もちゃちいプラスチックか樹脂製。100均で売ってそうなチープな子ども用のアクセサリーだった。
「え~? これが私にとって大切なもの? なんで!?」
「あらま、かわいいデザインじゃん」
そう言う香織がきら~ん、と指で輝かせる宝石は……あれ? と私は額を押さえた。
「……香織……それ、いつ買ったっけ?」
「え、このアレキサンドライトのこと?」
「うん」
何かが、引っかかる。私の頭の中で。胸の奥底で……コトリと動く何かがあって。私はそれを無視できない。
知らなきゃ、いけない。そんな衝動が突然わき起こった。
「これね……S宝石店で買ったけど……」
なぜか、香織は私の様子を窺いながら話す。たぶん私になにか起きないか心配してくれてるんだろう。
そうだ。
私がこの病院で目覚めた時……そばには香織がいて。彼女はその時なんて言ってた?
“あんた宝石店で倒れたんだよ? 夏樹がオーダーアクセサリー作ってくれるって言うから、石を選んでる最中に”
そして、あの後に倒れてから丸3日経ってることを知ったんだ。
けど、私には宝石店に入った記憶はない……と思ってた。けど、アレキサンドライトの人工光で変化する輝きに。ぐんと胸を押された気がする。
そして、ゆっくりと浮かび上がってくる光景があった。