ダブル王子さまにはご注意を!
「で、でも……どっちも作るの難しそう……」
思わず本音がポロリと出てしまうと、郁美は「そうですね」と答えた。
「生地から作るのはここでは難しいでしょうけど、簡単な方法がありますわ。ホットケーキミックスとレンジを使うんです」
「え、レンジで生地が作れるの! 教えて」
「はい」
勢いよく顔を近づけた私に、多少笑顔をひきつらせた郁美は私が手にしたメモ帳にサラサラとレシピを書いてくれた。
「へ~レンジで数分でできるんだ。意外!」
「はい。時間がない時や大量に作る時には重宝します。もちろん味はそれなりですが」
「だけど、失敗は少ないよね」
郁美はイラスト入りで描いてくれたから、すごくわかりやすい。やっぱり上手だよな~~と感心した。
「ね、郁美もスマホ持ってるよね? スマホでお絵描きできるの知ってた?」
「え? そうなんですか!?」
お嬢様である彼女はやっぱり標準アプリ以外は使ったことがない様子。私が彼女のスマホにアプリをインストールした後、レシピのお礼にお絵描きの手伝いをした。
このアプリはマンガまで描けたりと機能が豊富にある。あれこれ弄ってるうちに、郁美も夢中になっていった。
「こんなに簡単に絵が描けるなんて素晴らしいですね。水彩だと絵の具や水を用意しますが……そんな準備をしなくとも描けるのは助かります」
頬を赤くして喜ぶ彼女を見て、よかったとこっちまで胸があったかくなった。