ダブル王子さまにはご注意を!
「あ! なんてことしますか。猫ちゃんがかわいそう」
「じゃあ私のあげる。ほら、交換だよ~」
「交換?」
「こうして分けあえば二つの美味しさが味わえるでしょ。友達じゃ当たり前だよ」
「そうなんですね! じゃあいただきます」
郁美はごめんなさいと言いながら猫のケーキをフォークで掬うと、パクリと口にして「おいしい」と笑みを浮かべた。
「真由理さんのチョコレートケーキもコクがあって美味しいですね」
「そだよ。ここは外れがないからね~」
私が上機嫌で答えれば、郁美がフォークを置いて急にもじもじし出す。
「どしたの?」
ジュース飲んだしトイレかしらん? と訊いたら。頬を染めた郁美が俯いた顔を上げてこちらを見た。
「あの……また……真由理さんと一緒にケーキを食べに来たいです……ダメですか?」
「い、いいよ! いいに決まってるじゃん。だって私ら友達でしょ!?」
私が身を乗り出して興奮気味に話せば、彼女は少々身を引きつつ「はい」と頷いた。
「ありがとうございます……私、真由理さんと友達になれて本当によかったです」
涙ぐむまで喜んでくれて、こっちこそありがとう! とお礼を言いたくなった。
「ううん、こっちこそ。こんなガサツな私でも友達になってくれてありがとう」
感謝の気持ちを込めてギュッと彼女の手を握りしめた。