ダブル王子さまにはご注意を!





何だか照れくさい気持ちでケーキを頬張ってると、一樹のことを思い出す。もしもこういうケーキが好きなら……一度誘ってみようか。


なんて考えて、ハッと自分を諌める。


(バカバカ!なに考えてんの。あいつは郁美の……友達のカレシなんだよ。それを……)


ちょっと沈黙に耐えられなくなった私は、無理に違う話題を出した。


「それより、ほら。お菓子のオマケ開けてみようよ。どんなアクセサリーが入ってるかな」

「そうですね」


郁美はビニール袋からお菓子の箱を取り出すと、封を開けてオマケの箱をテーブルの上に置く。あんまり期待できそうにないけど、彼女が箱を開けるのを見守った。


すると、出てきたのは赤い宝石のペンダント。もちろんチープですぐ偽物と判るプラスチック製。だけど、子どもの頃だったら喜んでいただろうな。


「あれ、これ郁美がしてたペンダントに似てるね」

「そうですね……」


郁美は常に身につけてるのか、胸元から赤い宝石を取り出す。別れ際再会を約束する時に一樹に貰ったという、彼女が一樹の恋人である証。


テーブルに載ったチープなものと違って、繊細な透かし彫りの入ったゴールド製の台座にはめられた本物の宝石。大粒の深い赤はルビーだろうか。まるで、彼女への情熱を表してるみたいだ……。


チクチク痛む胸を押さえながら、私はアハハと笑った。


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