ダブル王子さまにはご注意を!
「あの、真由理さん……このペンダントとそのペンダントを交換しませんか?」
「えっ!?」
耳を疑う、という経験を久しぶりにした。郁美は急に何を言い出すの!?
「え、だって……あなたのペンダントは本物でしょ? こんなおもちゃの割には合わないでしょう」
「はい……18金と希少なルビーにダイヤモンドと聞きました」
「なら、なんで? そのペンダントなんて、このペンダントの1万倍は価値がありそうじゃん。
どうしてそうなるか聞かせてもらっていい?」
「……」
郁美は俯いたまま何も口にしないけど、どうやら迷っているらしい。けど、結果的に明かすと決めたようだった。
「……それが……とても似ているんです。わたしの憧れた人が手にしたものに……きっと彼女は本物を手にしてるし、望みは何でもかなってしあわせでいる。でも、わたしには何もない……だから、せめてそれだけでも欲しいんです」
そう話す郁美は悲痛ささえ漂わせて、できることなら望みは叶えてあげたい。そうは思ったけど……。
「……ごめんね。私も希望を叶えてあげたいのは山々だけど……これだけは手放せないの」
「これだけではご不満でしたら、ご希望の金額や欲しいものをおっしゃってください。お父様に用意していただきますから」
なぜか、必死になって交渉してくる郁美。よほど欲しいんだと胸が痛むけど、私も譲れない気持ちがあった。
「ごめんね……いくら積まれても売れないんだ」