ダブル王子さまにはご注意を!
「そうですか……わかりました」
寂しそうに目を伏せた郁美を見れば、ズキッと胸が痛む。
「ごめんね。ほら、ケーキ残ってるよ。食べちゃおう!」
無理に笑顔を作って盛り上がったけど、郁美は笑顔もなく口数も少ない。失敗したかな……と部屋に戻ってからため息を着いた。
途中までは確かに打ち解けて楽しかったのに、何がいけなかったんだろう?
お嬢様だから私のハイテンションにドン引きしたか。それとも私が断ったから気を悪くしたか。
(けど、郁美はなんでこんなチープなペンダントなんて欲しがるんだろ)
巾着袋から取り出した赤いペンダントを指でぐるぐると回す。それを数度繰り返してると、意外な声が聞こえた。
「相変わらずだらしない姿だな」
「~……っと、わぁあ!」
回してたペンダントが指からすっぽ抜けてしまい、床に落ちて転がっていった。
「あ~……」
手を伸ばせば取れそうだから、よいしょと屈めば。それを制止された。
「ばか、入院中なんだから無茶すんな」
そう言って紺色のスーツ姿のまま、ベッドの下に潜り込んで取ってくれたやつは……
埃まみれな頭で「ほれ」とペンダントを差し出した。
「大切なものなんだろ? なくすなよ」
「……う、うん」
震える手で取ろうとしても、なぜだか手が伸ばせない。ちょっと触れただけで、慌てて手を引っ込めてしまった。