ダブル王子さまにはご注意を!
「なんだよ、ほれ」
ベッドの下から這い出した彼は私の手を取ると、赤いペンダントを手のひらに載せて握りしめさせた。
だけど……
その指に触れて、途端に思い浮かぶ光景があった。
“ほら、大切なものだろ。もうなくすなよ”
“うん。だっていつきくんがくれたものだもんね”
“ば、ばか。なに言ってんだよ”
あ! と声を上げたのはどちらだったのか。
このぬくもり……私は……憶えてる。
そして、ジャスミンのような爽やかな薫りも……幼心に強い印象を与えて。決して忘れない記憶になってたんだ。
「……一樹」
「真由理……おまえ……まさか……」
私が呼ぶと、困惑したように一樹が言う。
「あの……再会を約束した女の子……だったのか?」
「……たぶん。私も今思い出した……」
もしかしなくても、一樹も同時に思い出したらしい。懐かしい、という感情が一気にあふれてくる。自然と涙を流した私に、一樹はそのまま手を握りしめてきた。
「……少しだが思い出した……あの公園でオレたちは遊んだんだ」
「そうだね……よく一緒に夕日を眺めてた……」
あの、池のそばにある阿室で。二人並んで一緒に過ごしたんだ。色鮮やかな夕日がとても綺麗だったっけ。
今、窓から見える夕日みたいに。すべてが茜色に染まってた。