ダブル王子さまにはご注意を!
大切なもの
ホントに、今日は気分がどんよりすることばかりだった。
(きっと一樹は郁美のついでに私の病室に寄っただけ……なんだよね)
ドシン、と気分が落ちる。
いくら私が一樹と再会を約束した女の子だとしても、今彼が愛してるのは郁美。彼女の元には毎日来る……と聞いてる。対する私なんてたまにしか寄らない……それも夏樹の代わりに顔を見に来るくらいで。
「はぁ……どう見ても絶望的じゃん」
たしかに、昔なじみというアドバンテージは効く。でもそれは、期待より成長をしたら意味があることだ。
期待以上どころか人並み以下の姿を晒しておいて、どこに好意を持たれる要素があるのやら。
(あ~ホントもっと早く女子力磨けばよかった)
後悔先に立たず。もともと希望なんてなかったのに……。
(やっぱ郁美みたいな美人がいいよね。お嬢様だから周りから反対されるわけないし……控え目だけど気遣いはできるし……ちゃんとお料理はできるし……私と大違いだ)
早乙女さんから聞いたけど、郁美は社長令嬢らしい。業界最大手ではないけど、二番目に大きくて家にはハウスメイドまでいるとか海外に別荘持ちとか……マジにお嬢様だ。
ず~ん……と沈み込んだ。