ダブル王子さまにはご注意を!
さすがに夜遅いからか、マリエラさんが後を着いてきた。なんか護衛だとかなんだとか。
脅しのつもりで階段を上がるよ、と言っても構いませんと悠然と微笑まれては黙るしかない。
「はぁ……ひい……や、やっと着いた……」
「……真由理様、退院の前に体力アップのプログラムを組みましょうか」
マリエラさんに言外に運動不足を言われてしまいました。
「……はい。お願いします……」
項垂れながら階段を昇り個室のあるエリアへ向かう。突き当たりの特別室まであと少し……という時、マリエラさんから急に突き飛ばされた。
「いだ!」
顔面……壁にぶつけた。
「しっ! お静かに」
唇に指を当てて注意されたけど、ならもっとそっと扱ってくださいよ。涙目でそう呟くがせいぜいな小心者な私。
けど、彼女と壁の向こうで息を潜めるうちにダミ声が響いてきた。
「どういうことだ、あれを奪えなかったとは! あれは起死回生に必要なものと何度言えば判る!? この愚娘が!」
「お父様……申し訳ありません……ですが」
「ええい! 言い訳はいい。今度は必ず奪うのだぞ。いいか!? ワシの望みとおまえの望みとはあれがなければ叶わないのだ。期限は今日中なのだから、今度はしくじるなよ。いいな!」