ダブル王子さまにはご注意を!



「本当に小さい頃だから憶えてないのは当たり前なんだけど、だけどそれはそれで最近問題が発生してね。どうしても思い出す必要が生じたんだ」

「はぁ……」


「どうも僕は幼い時に記憶喪失になるような出来事があったとかで……6歳までの記憶が一切ないんだ。それまではこの街で暮らしてた……と記録にあったから、思い切って移ることにしたんだ」

「……それは、お気の毒でしたね」


そう言うしかないでしょう。だって、記憶が無いと辛いだろうし気の毒には思うけど、お客と店員という関係で同情したって仕方ない。今は哀れまれることが嫌いな人もいるんだし。


けれど、そこでどうして私に同居を勧めてくるかが見えない。


「あの……それで? 私が一緒に住む理由が見当たりませんが」

「真由理さんは地元生まれの地元育ちって言ってましたよね? なら、誰よりもこの辺りには詳しいはずですよね」

「はぁ、まあ。一応地元民ですから」


そんなことまで憶えてたのか! と驚くけれど、優秀なビジネスマン(仮定)なら記憶力も抜群てとこか。


「だから、提案したんです。あなたは僕にさほど興味はなさそうだから、という理由もあります」


幸村さんは苦笑いをしながらそうおっしゃる。なるほど、その華やかな外見から女性関係で苦労しただろう事情が透けて見える。特に彼は肉食系女子には格好の獲物だっだろうな。

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