ダブル王子さまにはご注意を!
「お父様……もうお止めください……これ以上は……」
「うるさい! おまえがこれだけいい治療を受けられるのは誰のお陰だ!?
いいか。あれを手に入れて必ず夢を果たせ! でなければおまえなんぞいつでも捨ててやるからな」
「……そんな! お父様……それだけは……」
声を震わせた郁美が可哀想になって足を踏み出したけど、マリエラさんは私を止めて首を横に振った。
「今はそっとしておきましょう……郁美さんを追い詰めることになります」
「でも……あいつになにか言ってやりたい! それでも親かって」
「お気持ちはよくわかります。ですが……郁美さんはせっかくお友達になれたあなたに、このような現実を知られるのが辛いのではないでしょうか」
マリエラさんに言われてハッとなった。
友達だから心配をさせたくない気持ち……私にもある。自分の辛い状況を見て欲しくない気持ちも。
「そうだね……確かにそうだ。特に郁美は繊細で優しいから……」
今のこのこと出ていって謝ったとしても、単なる押し付けになりそう。感情に任せて行動したってろくに結果にならないことはたくさんある。今がまさにそう。
マリエラさんとともに踵を返して戻ろうとしたけど、後ろ髪引かれて振り返って――ドキッと心臓が跳ねた。
そこに、あのブティックで見た美女がスーツ姿で立ってたんだから。
もしかしてブティックのご用聞き? なんてアホなことを考えながら、自分の部屋に戻った。