ダブル王子さまにはご注意を!
「真由理様、ちょっといいですか」
すでに営業が終わった喫茶店に誘われ、彼女に着いていくと意外なものをテーブルの上に置いた。
「念のためお持ちください」
マリエラさんが私に差し出してきたもの……それはとんでもないことに、一丁の銃だった。
手のひらよりもやや大きい銀色の筐体。彼女は手慣れた動作でそれを操作する。
「オートマチックのシングルアクションですから、トリガーも軽く扱いやすいです。もしもお持ちになるならば、今から地下倉庫で練習しましょう」
「え……ちょ、ちょっと……銃刀法違反……じゃなくて! なんで私が銃を持つ必要があるんですか!?」
一応、善良な一般市民のつもりですから。銃をぶっぱなすなんて冗談じゃないよ。映画やドラマじゃないんだから……。
そんな私に、マリエラさんが冷静そのものの声で問いかけてきた。
「ならば、いざというときはむざむざ殺されるおつもりですか?」
「え!?」
殺される……? 何だか穏やかでない物騒な言葉に目を見開くと、彼女は淡々と事実を告げる。
「……今まで一樹様のご意向で情報を制限してはおりましたが、もうそんな悠長さはなくなりました。
真由理様、はっきり申し上げますと、あなたは狙われてらっしゃいます。しかもプロの手練れに、です。
今までと同じ間一髪で助かると呑気に思わないでください」