ダブル王子さまにはご注意を!
「え、約束の証って……そのプラスチックの玩具が?」
郁美が震える手で出したのは、私から奪ったあの玩具のペンダント。
「どこが約束の証しかわかんないけど……それ、そんなに欲しかったの?」
郁美は無言のまま、こくりと頷く。
「わたし……あと数年しか生きられないかもしれない。だけど……一樹くんのお嫁さんには永遠になれない……だから。せめてこれだけでも……欲しかった」
ペンダントをギュッと握りしめて、さめざめと涙を流す彼女。そして、今された衝撃の告白にはショックを受けるしかなかった。
「……あと数年て……マジ?」
「……新しい治療法と……高額な未承認のお薬が必要なんです。でも……お父様は……これ以上わたしにお金はかけられない……と。お母様と離婚しわたしをお母様の実家に戻すそうです」
「なんてこと……」
まるでそれが救いのようにペンダントにしがみつく郁美の姿には胸を打たれる。親からすら見放された彼女は、遠からず病院を出ていかなきゃならない。
毎月どれだけの医療費が掛かるか知らないけど、特別室に入って手厚い看護を受けてたんだ。きっと何十万どころじゃないだろう。
犯罪をおかしてお金が無くなった男には無理な負担なんだろう。実にわかりやすい突き放し方だった。