ダブル王子さまにはご注意を!




「真由理、掴まれ」


一樹が手を伸ばしてくれる。


おそるおそる、私はそちらへ向けて手を伸ばした。


――けれど。


ほんの僅かな差で、岩が崩れ落ちて身体が宙に放り出された。


「真由理!」


必死に伸ばされた一樹の手も届かない。


(あ……もうダメかな……)


さすがにもう駄目だ……と絶望的な気分になった瞬間――


突然、ガシッと抱き寄せられて驚きに目を見開けば。目の前に一樹の綺麗な顔があって、カアッと顔が熱くなった。


「え……一体どうしたの?」

「バカか。オレが何の準備もなくこんな断崖に来ると思うか?」


クイと顎で示した先を見れば、彼の背中と腰にはがっしりとしたベルトがあって、背中には丈夫なロープが伸びてた。


「……20年前と同じ過ちは繰り返さない」

「そうだね……うん、一樹はあの時ヒーローだったもんね」


やっと、思い出した。


あの自動公園で夏樹が崖から落ちたところを、私が助けて。更に一樹が助けてくれたんだって。


その時、一樹は崖から落ちて全身を叩きつけられて意識不明の重体になったんだ。彼を助けるために渡したロープがわりが……フリフリレースのリボンだったから。あまりに脆くて幼児の重さでも耐えられなかったんだろう。
しかもフリフリのリボンとレースだらけの服はことごとく救助の邪魔になって。

あの時、私は思った。


こんな格好はもうしない、と。意味がないどころか大切な人を傷つけてしまう……と深く心に刻み込んだんだ。

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