ダブル王子さまにはご注意を!



で。


広くて綺麗過ぎる部屋で眠れるはずもなく、明け方にうつらうつらしたところでイケメン様に起こされて……半分寝たままついていけば。豪華な朝食が並んでました、と。


よそ様の家にお邪魔してるだけで落ち着かないのに、その家の主に手作りの食事まで用意されて。まさに身の置き所がない感じ。


ドラマか映画みたいなオサレなダイニングでいただくオサレな朝食……しかもイケメン様の給仕付き。普通の女性なら感動ものだろうけれど、あいにくカラカラに乾ききった干物女。


厚切りパンにマーガリンをたっぷり塗りたくってオーブントースターでこんがり焼いて、お供はレンジで温めたペットボトルのカフェオレ。気分が乗ればトーストにチーズやハムを載せるだけ。そんなズボラ飯が妙に懐かしくなった。


あんまり食べられなかったけど、せっかく作ってくれたからと残りはお弁当に持って行くと言えば、イケメン様はサッとステンレスジャーやバスケットに詰めて下さって、しかも雑誌に載ってそうな綺麗な盛り付け。

……どこまで女子力高いんだ、このイケメン様は。と口をあんぐり開けた私に、イケメン様はにっこり笑ってこうおっしゃいました。


「今日は早番でしたよね? 6時にお迎えに行きますから」


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