ダブル王子さまにはご注意を!
だって早乙女さんとは月末にはサヨナラだし。
職場では冗談を言い合うしわりと仲がいいと思ってたけど、よく考えてみたらメアドや電話番号どころかLINEのIDすら知らなかった。つまり連絡を取る必要がない人間と思われてたわけで……。
他の男性社員とは最近流行りのスマホゲームについてよく盛り上がってたのに、私にはその話をふることもなかった。 他の社員とはとうに移動した人のLINEのやり取りを話してて、寂しいと思ってたけど。
(なんだ……私、やっぱり早乙女さんにとって大した存在じゃなかったんだ)
ズガン、と現実が一気に胸にのし掛かってきた。これだけ相手にされない要素が満載なのに、よくぞ“付き合いますか?”なんて言えたものだ。
個人的に興味があるならLINEのIDくらいは訊くはず。なのにそれすらないってことは最初から可能性0だったってことで……。
今はカノジョ居ないからって、期待するだけ無駄。相手だって選ぶ権利はあるんだから。
(ハハハ……虚しすぎて涙すら出ない)
心の中で乾いた笑いをこぼすと、早乙女さんの意外な言葉が耳をついた。
「実はぼくも料理には興味があるんだ。もしよかったらその人のLINEのID教えてくれないかな?」