ダブル王子さまにはご注意を!


ちょうど夕日が海に向かって落ちていく。空は紫色とピンクと茜が混じって、金色に輝く雲の色彩ととけ合う。

コンクリートが多くなった街も、優しい色合いに包まれて。何だか懐かしくて穏やかな気分になれた。


本当に、きれいだった。


こんなにゆっくりと夕日を見たなんて、いつ以来だったろう。

中学と高校は部活に熱中し、大した結果も出せないまま引退してからは受験一色。何とか大学に入れば、ない頭ではついてくのがやっと。バイトもせずに必死に課題だのレポートだのに埋もれて、無事に卒業し就職した先が今の家電店。


(となると小学生以来か……ホントに久しぶりなんだな)


子どもの頃は木製だった柵も、今は金属製に替えられて。塗装も剥げて錆びてる場所もある。それだけ長い年月、訪れなかったんだなぁ……って。しみじみ感じた。


(そういえば……)


公園に来たついで、と言ってはなんだけど。ちょっと気になってた場所があったことを思い出したから、ついでに足を向けてみる。


「真由理? どうしたの」

「ちょっとね。気になるならついてきて」


小走りでついつい走ったのは、気が急いてたから。普段の運動不足がたたって、息が切れるはめになったけど。


< 53 / 235 >

この作品をシェア

pagetop