ダブル王子さまにはご注意を!





「あった!」


思わず安堵の息を吐いた先には、池のそばにある木製の東屋(あずまや)。


ベンチに屋根がつけられた、壁がない小屋みたいな感じ。それだけで何の面白みもないけど、子どものころ私はここが大好きだった。


けど、そこにいくまでに多少階段を昇らなきゃいけない。子どもの頃は軽やかに昇れたのに今は……何でこんなに体が重いのさ。


息切れしながら昇りきった先には、変わらないベンチに木製の屋根。ふらふらとベンチに近づき腰を下ろせば、ずいぶん小さかったんだな……と感じた。


(私のお尻が普通より大きいとかじゃないからね! 絶対)


後ろからトントントンとリズミカルな足音が立つこと数秒後、まったく息も乱れない誰かさんの声が聞こえた。


「なんだ、ベンチしかない場所か。ここに何の意味があるんだ?」


ケンカを売っているとしか思えない無神経さに、拳を握りしめるけど。深呼吸をして気を落ち着けた。


(こんな大切な場所でケンカしない……息を吸って……吐いて!)


「なに鼻息荒くしてんだよ。そんなに疲れたなら無理に昇らなきゃいいだろ」

「……うるさい! 静かにしてて……ってか。仮にも女性に向かって鼻息ってなによ!」


ついついカッとなって言い返してから、いけないと口をつぐんだ。

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