ダブル王子さまにはご注意を!
巨大なハテナマークが頭の中をぐるぐる回るけど、誰一人彼女の存在に触れないのはなぜ?
ていうか、一樹はどこ行った?
極めてナチュラルに車は発車したけど、私は慌てて運転手さんに向かって言った。
「ちょ、待ってください! まだ一樹が戻ってませんよ。彼、体調が悪いかもしれないのになんで置いてくんですか」
「一樹なら大丈夫ですよ。彼もいい年した大人ですから、自分の体調管理くらいできます」
夏樹はそう言って出せ、と運転手に告げたけど。それがあまりに冷淡に感じて、私はカッと頭に血が昇った。
「ちょ、止めて! 」
バンバン、と窓ガラスを叩くと、夏樹は妙な笑顔を向けてきた。
「危ないですよ。一応防弾ガラスで、素手で割れる強度ではありませんからね」
「防弾……? って、なんかスッゴい不穏な響きなんだけど。何か危険があるってこと?
なら、尚更一樹を一人にしちゃ駄目じゃない!
あんた、兄なのに弟を心配しないわけ!?」
ちょっと気色ばんで責めるような口調でも、夏樹は特に変らず淡々と答えてきた。
「ええ。僕なりに心配はしますよ。だけど、一樹なら大丈夫です」
「それ、根拠ない自信ってやつじゃん! すぐ近くにいたって、助けられない場合だってあるんだから……!」
なぜか、私の脳裏をチラリと赤い色がかすめた。
赤と、黒。そのコントラストは……。