Pathological love 番外編
久し振りの会社は殆ど変わっていなかった。
変わったといえば、受付の女の子の衣替えくらいだろうか?
「あーーーー!令子さん!!おはようございます!!」
少し腫れ物にでも触る様な目をされたけれど、顔馴染みの同僚達が、私見つけて驚きと共に歓迎してくれた。
「お前~本当に心配したんだぞ~?」
藤森なんて、心無しか瞳をうるうるさせている様に見える。
いや、これは本当に涙で潤んでるんだな?
「ごめんね。心配掛けて……少し母の事が堪えて……。でも、もう大丈夫!!今日から仕事もバリバリやるから!!」
「令子さん!無理しないでくださいね?私に出来る事は何でもやりますから!」
美保ちゃんが、私の腕におでこを寄せて、声を詰まらせた。
独りぼっちだとずっと思って生きて来たけれど、気づかなかっただけで、こんなにも私の事を心配してくれる人達が居たんだと、今は素直に受け入れられる。
「ありがと……ありがと……う。」
感動の再会を果たしていると、その雰囲気を吹き飛ばす様な大きな声が後から響いた。
「水川~!!」
「赤坂部長!!すいませんご迷惑をおかけしました。」
深々と頭を下げて言葉を待っていると、気持ちのいい笑い声が返ってきた。
「はははっ!散々水川には苦労掛けてきたんだ、これくらいお安い御用だ!!でも、山川には遅れを取ったからな?そこは覚悟しとけよ?」
「はい!!今日から挽回します!!」
「よしっ!その意気だ!!早速仕事の話いいか?お前の指名が入っているんだ!」
「はいっ!!」
気の引き締まる思いで、私は赤坂部長の背中を追った。
大丈夫、まだ仕事に対する意欲は無くしていない。