いきなり花嫁とか、ふざけんなです。
「ちょっと、なんてことをしてくれたんですかっ!!」

「仕方ねぇだろ。」

「私、あの人と婚約とか結婚とか、絶対に嫌ですからね!早くシルドレッドに帰して下さい!」

そうです。

それが目的です。

思えば、髪の毛わっしゃわっしゃとか、お喋りするとか、そんな仲良しこよしする間柄じゃありませんよね。

連れ去った犯罪者と、被害者の女の子なんですから。

ソルデのペースに巻き込まれて、危うくほのぼのするところでしたよ!



それを思い出した途端、「帰りたい」という気持ちがせり上がって来ました。

……そうです。

私がいるべきなのは、こんなところじゃない。

家族がいる、シルドレッドなのです。


「いきなり起きたら、エゼナにいるし。視察もできないし。何なんですか、もう……。」


弱音なんか吐きたくないのに、つい口から溢れてしまいます。

……だって、仕方ない。

こんな風になって、平然としている方がおかしいですよ。

「帰して下さい……。」

両親に会いたいです。

初めてのお仕事もやり遂げたいです。

シルドレッドの王子の、成人の儀にも参加したいです。

また、カボチャのスープが飲みたいです。




「………………すまねぇ。」


返ってきた言葉は、今までのような明るい声ではありません。

ソルデらしくない、本当にすまなそうな声。

でも、

「すまないと思うなら、帰して下さいよ!貴方なら、できるでしょう!?」

そんなんで納得するほど、私は呑気ではありません。

「……………。」

「ソルデ!」

「……悪ぃが、それは叶えてやれねぇ。」

「なぜです!?」

「もう少しだけ、この国にいてくれ。頼む。……そうすれば、分かる。」

なんで……。


「なんで、その理由を今、言わないのですか?」


そこまで非道な何かがあるのですか?

シルドレッドに関わる、何かが。

そんなのに利用されたくない。

シルドレッドを裏切るようなことを、したくないです。


……しばらく間を置いてから、ソルデは答えました。


「俺やデューノやハルクが何を言っても、お前は信じねぇだろうからな。」


「そんなの、分かんないじゃないですか。」

「無理だ。シルドレッドでぬくぬくと育てられてきた、お嬢のお前じゃ。」

「じゃあ、どうしろと言うのですか?」
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