イジワルな彼に今日も狙われているんです。
店の外に出ると、冷たい風が火照った頬を刺した。

冬真っ盛りの1月だから仕方ない。室内との温度差に身体を震わせつつも、一応クールダウンはできたと右の頬に指の背で触れた。

どちらともなく並んで歩き出す中、先に口を開いたのは尾形さんだ。



「悪かったな、連絡もせずに待たせて。ちょっと会社でトラブって待ち合わせの時間に行けるか微妙になったんだけど、スマホの充電も切れて連絡できなくてさ」



眉を下げて私の目を見ながらそう話す彼は、本当に困ったような表情をしていた。

その顔を見上げ、私はふるふると首を横に動かす。



「いえ……事故にでもあったのかとちょっと心配してましたけど、そうじゃなかったならよかったです」



さっきのショックからは少しばかり浮上できていたので、これ以上彼が気に病まないよう小さく笑みを浮かべながら答えた。

困り顔のままそんな私の頭を一度くしゃりと撫でた尾形さんは、けれどもふと、何か思いついたように手を引っ込める。



「あのさ、前から少し思ってたけど。木下って、男ギライ?」

「え?」



思いがけないセリフに目をまたたかせる私を、じっと見つめる。

明るいところだと日本人では珍しいヘーゼル色をしている瞳は、夜空の下だとただのこげ茶に見える。少し考え、私は言葉を選びながらゆっくり口を開いた。



「嫌い……ってわけじゃ。短大までずっと女子校だったので、たしかにちょっと苦手意識はあるかもしれないですけど」



それに今だって、普通に尾形さんと話してるじゃないですか。

首をかしげつつそう言えば、私の視線から逃れるように尾形さんが前を向く。
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