イジワルな彼に今日も狙われているんです。
「……ほら。そろそろ落ち着いたか?」
尾形さんが片手に持ったペットボトルのお茶を差し出し、私の顔を覗き込んでくる。
私はベンチにぐったり腰かけたまま、目の前のペットボトルをありがたく受け取った。
「ありがとうございます……なんとか、落ち着いた気がします」
「ならよかった。にしてもおもしろかったな、お化け屋敷での木下の醜態は」
「なっ、」
尾形さんのあんまりな言い草に、ついムッとする。
たしかにたしかに、入口から出口までほとんど目をつぶって尾形さんにしがみついてたし、しょっちゅう悲鳴もあげてましたけど……!
「醜態って……! ひどくないですか……!」
「ははは。見ろよこれ、木下がずっと握りしめてた痕」
笑いながら尾形さんが指差すのは、自分が着ているコートの左肘のあたりだ。
そこはもう、見るからにくしゃくしゃのシワだらけになっていて。私は一瞬不機嫌を忘れ、あわててベンチから立ち上がった。
「えっ、すみません! そんなシワくちゃに……っ」
「いや、俺が無理やり連れてったんだし別に気にしてないけど。それに役得だろ、これは」
そう言って笑う尾形さん。私はいたたまれなく思いながらも彼がさらりと使った『役得』という単語が気になって、言葉を詰まらせた。
……それは、しがみついた私が、“女”だから?
それとも、“私”だったから?
尾形さんが片手に持ったペットボトルのお茶を差し出し、私の顔を覗き込んでくる。
私はベンチにぐったり腰かけたまま、目の前のペットボトルをありがたく受け取った。
「ありがとうございます……なんとか、落ち着いた気がします」
「ならよかった。にしてもおもしろかったな、お化け屋敷での木下の醜態は」
「なっ、」
尾形さんのあんまりな言い草に、ついムッとする。
たしかにたしかに、入口から出口までほとんど目をつぶって尾形さんにしがみついてたし、しょっちゅう悲鳴もあげてましたけど……!
「醜態って……! ひどくないですか……!」
「ははは。見ろよこれ、木下がずっと握りしめてた痕」
笑いながら尾形さんが指差すのは、自分が着ているコートの左肘のあたりだ。
そこはもう、見るからにくしゃくしゃのシワだらけになっていて。私は一瞬不機嫌を忘れ、あわててベンチから立ち上がった。
「えっ、すみません! そんなシワくちゃに……っ」
「いや、俺が無理やり連れてったんだし別に気にしてないけど。それに役得だろ、これは」
そう言って笑う尾形さん。私はいたたまれなく思いながらも彼がさらりと使った『役得』という単語が気になって、言葉を詰まらせた。
……それは、しがみついた私が、“女”だから?
それとも、“私”だったから?