純愛小説家
一歩、二歩…。

あんなに逢いたいと、気持ちは逸っていたはずなのに。
近づくにつれて、鼓動の速度に反して。

その一歩一歩が、躊躇い始める。

やはり。
さすがに緊張が高まるらしい。


「…………」


俺は一度、立ち止まり。


─ふぅー…


目を閉じて、大きく息を吐くと。

思いきって歩幅を広げ、躊躇うことなく、足を踏み出した。

そして、


─ドクン……


その角に差しかかった時。





「いつきー!」






─っ────!!






聞き覚えのある。
いや…。
忘れるはずがない。

一瞬で、俺を揺さぶる。

あの声が、俺の耳に響いた。
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