好きだと思うんですがっ!?
「……まだ、付き合ってはないらしいよ」
さっきから頭の中に反芻(はんすう)している言葉。そのせいか、言葉はすんなりあたしの口から滑り出てしまった。
「まだ? なにそれ? それって、星野から聞いたの?」
うん、と返事をする代わりに、一度小さく頷いた。
そしたら、古柳くんから白い息と共にため息がこぼれ出た。
「なんだよそれ……」
古柳くんはあたしの手を握り、歩き出した。
「こっ、古柳くん⁈」
なに急に? 彼の行動が理解出来なくて、あたしの足はもたつく。
古柳くんはあたしの手をしっかりと握りしめ、どんどん進んでいく。
「古柳くん! バス停! ほら、バス来てるよ!」
ちょうど古柳くんがあたしの手を掴んで歩きだした頃、あたし達の歩く隣をバスが通り抜けた。
バス停は目と鼻の先。走り出せば余裕で間に合う距離感。それなのにーー。
「いいんだ。今日は浮田さんを駅まで送りたいから」
そう言って再びあたしの手をぎゅっと握りしめた。