好きだと思うんですがっ!?
駅の頭が見え始めた時には、あたしの口からは蒸気機関車のように煙をもくもくと噴き上げていた。
「ごめん。俺、勝手にどんどん進んでしまった」
「や、いいんだけど、なんか珍しいと思って」
リードしてくれそうなタイプではあるけど、相手の事をちゃんと気にかけてくれる印象がある古柳くん。
だからこそなりふり構わず我が道いっちゃってる感じが珍しいと思った。
「なんか、色々考えてたんだけど俺もう無理かもしれない」
「それってどうい……」
駅に着いた途端、繋いでいた手をグイッと引っ張り、あたしを引き寄せた。
その衝動であたしの体は古柳くんに吸い寄せられてくみたいにして、スッポリと彼の腕の中に収まってしまった。
「ちょっ、待って待って!」
あたしはパニック起こしながらも、もがく。
けど、彼の腕はガッチリあたしの体をホールドして離さない。
「昨日はあんな余裕ぶった言い方したけど、なんか今の浮田さん見てたら俺……」
あたしの耳元で囁くように呟く古柳くんは、一拍置いてから、胸の奥に詰まっていたものを吐き出すみたいにしてこう言った。
「ねぇ、浮田さん。俺にしときなよ」