好きだと思うんですがっ!?

良かった……そう思ったのもつかの間。


「こんなところでなにやってんだよ」


あたしが覗いていた反対側から星野くんがぬっと現れた。


「わっ、バケモノ!」

「……誰がだよ」


これでもかってほど、星野くんはしかめっ面をあたしに向けた。

それでなくても既に睨みつけられてたというのに……。


「えと、いやその、ちょっと……散歩?」

「嘘つけ」


なんと表情を和らげることも無く、星野くんは毒をも吐き捨てるようにそう言った。


「ははっ……バレた?」

「いや、バレバレだろ」


力なく笑ってみせたけど、星野くんは一切笑顔を見せてくれない。むしろ呆れた顔をしつつ、まだ眉間にシワを残してる星野くん。


あたしはどう説明したらいいのかも分からなくって、ずり落ちそうになったスクールバッグを抱き抱えた。


さっきのくしゃみで鼻水が垂れそう。それを懸命に啜りながら、どーしたものかと考えてると、星野くんはポケットからティッシュを取り出した。

ほら、なんて言いながら差し出してくれたそれを見て、思わず。


「星野くん、女子力高いね」


なんて事を言ったら、さらに嫌悪感を剥き出しにされてしまった。


「それは、いらないって事でいいか?」

「あっ、いります! すみません、ごめんなさい、ありがとうございます!」


あたしがティッシュを受け取ろうとした時、星野くんは更に言葉を続けた。


「さっき、こっちから古柳も出てきたかど」


あー、そうですか。知ってましたか。


「あー、うん。そうだね」


なんて曖昧な返事をしつつ、ティッシュを受け取り、このなんとも言えない空気を破るように、あたしは鼻をかんだ。


< 163 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop