好きだと思うんですがっ!?

「……やっぱ、古柳と付き合ったんだ?」


ドキリ、とした。

星野くんからそんなセリフを直接言われると、焦って手のひらにじわりと汗が滲んだ。

あたしは慌てて口を開いて、その事を否定しようとしたけど、それと同時にあたしの脳内ではさっきの光景が再生された。


木田さんが嬉しそうに去って行った様子が、あたしの目の裏に焼き付いてる。


ーーありがとう。嬉しかった。


そんな言葉が、再び脳内に響いた。


「……そういう星野くんこそ」

「なんだよ」

「付き合ってないとか言ってたけど、もう返事したんだ?」


そう言ったら、星野くんってばあからさまに気まずそうな顔で、あたしから視線を逸らした。


……なんて分かりやすいヤツだ。


「まだ付き合ってないとか言っておきながら、さっさと返事してるんじゃん」

「立ち聞きかよ。悪趣味だな」


星野くんが珍しく苛立ちをその顔にのせて、そう言った。

苛立ちを向けられる事はあっても、こんなに心の底から苛立たれた事は無かったと思う。

あたしもここで怯めばいいものを、むしろ逆にその表情にも言葉にもイラっとして、脳内でカチンという音が鳴ったとともに、頭のどこかでなんらかのスイッチが入った。


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