好きだと思うんですがっ!?

「俺はちゃんと言っただろ」


さらりとそんなデマを言うから、あたしは思わず顔を隠す事すら忘れて、涙でぐちゃぐちゃのこの顔をさらけ出して、星野くんをスクールバッグで殴った。


「いてっ! やめろって」

「嘘つき!」

「嘘じゃないだろ」


男らしくないどころか、星野くんは嘘つきの最低だ。そんなすぐにバレるような嘘をあっさり言ってのける神経を疑う。

今この空気、このシリアスな空気の中でよくもそんな嘘を……!


「じゃあ、いつ言ったっていうのよ!」


あたしの納得がいく回答をしてみろ! そう思って鞄を振りかぶった瞬間、星野くんにそれを取り上げられてしまった。


「土曜日、映画見た日の帰りに俺は言っただろ」

「はぁ⁈」


嘘つき。やっぱり、嘘つきだ。

こんな時まで冗談とか笑えない。おちゃらけてそんな方便をつくのなら星野くんの人間性を否定しかねない。


星野くんに掴まれた鞄を取り返そうと手を伸ばしたけど、逆にその手を捕まえられてしまった。


「別れ際、電車の中で言っただろ! 好きだって!」



ーーはぁ?


星野くんはあたしの手を更に強く握りしめた。それはそれは、痛いくらいに。


「好きだって、俺は何度も言ったぞ」

「嘘だ! 言われてないし!」


あたしは星野くんに掴まれた手を振り解こうとするけど、力の差が歴然すぎてビクともしない。

悔しくて、涙ながらの目でギロリと睨みつけたけど、星野くんは揺るぎもせずにあたしを真っ直ぐ見据えてこう言った。


「浮田が電車降りた時、言った。なのに聞こえてないフリして、誤魔化して、挙句にはなんで? なんて言ってきたのはそっちだろ!」


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