溺愛されてもわからない!

ガンコな私が口を割らないと知り
一夜はあきらめ
タメ息混じりに「ケンカしたなら仲直りさせるよ」って言ってくれた。

だから私は「一夜は、私と夢君が仲直りするのが理想?」って聞くと「そうだよ」ってすぐ返事。



もう

本当に

遅いんだね。


私は「おやすみ」って布団を頭からかぶり
一夜のマシンガンな質問を拒否して
きつく目を閉じる。

一夜は全てをあきらめたように「おやすみ」って言い、私の頭を布団越しにポンポンしてくれた。

優しくしないで欲しい。
一夜は優し過ぎる。

これ以上
好きになるのはダメだ。
一夜が私に優しくするのは
家族だから
ただそれだけ

月夜を探した夜
私を『好き』って言って
キスしてくれた一夜はもういない。
ここにいるのは
家族想いの優しい義兄。

婚約者がいる義兄。
夢君と仲良くしてほしいと願う義兄。

私が自分の気持ちに素直にならないで
夢君に走った罰。

【私が好きなのは夢君】って想い込み、一夜を拒否したのは自分だ。

かといって
夢君に戻るのもダメだ。
大切なふたりを失った夜。
自業自得
前に一夜から言われたっけ

ただひたすら
こっそりと
泣くしかない。




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