溺愛されてもわからない!
飛び込んで

朝になり

目を覚ますと一夜が私の顔を見つめてた。

「おはよ」
サラッと言って背筋を伸ばす。

「あと10分ぐらいしたらみんな来るから、僕は先に帰るね」

「うん。ありがとう」

「僕っていいお兄さんだよね。ガンコで口を割らない意地っ張りの義妹に、こんなに優しい」

本当に最高の嫌味な義兄様。

「はいはい。感謝します」

「心無いぞ」

やつれた顔でそう言い
上着を着てマフラーを首にかける

「もう行くの?」

「うん。すみれちゃんも無理しないで。夜中に2回ほどうなされてたから熟睡してないかも」

「そうなんだ」

「うん」

無意識なんだけど
安心したせいか
余計に怖い出来事を思い出してるんだろう。
夢遊病みたいな感じなのかな
身体はだるいけど覚えてない。

「昨日の今日みたいなものだから、無理ないけどさ」
サラッと言いながら
私の頭をくしゃっと撫でる。
その仕草が乱暴だけど温かい。

「ありがとう」
もう一度お礼を言うと「うん」って言って、部屋を出て行った。

窓の外は冬の青空。
朝からこんなに晴れるのは久し振り

私の心も晴れたらいいね。

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