少女たちの選ぶ道
第一章 聖和中学校

四月六日



私たちは大人の駒のようだ。

私の駒はどれだろう??ーーー


伝統と礼節を重んじるけど、たいして他の中学とは変わらない公立の聖和中学校。

特別何かあるといえば気まぐれで鐘の音が鳴る古い時計塔ぐらい。


それと、この中学校が三年前に中学校名が改名された。

三年前まで帝都中学校という名前だったけど、とある理由から改名された。

そして制服も新しく変わった…と言っても女子のスカーフが黄色から赤色に変わっただけ。

そして公立なのにも関わらず共学ではなく女子校になったのだ。


教師と生徒の信頼関係を深く築くためにクラス内の生徒数は少人数制となり四十対一だったのが二六対一に変わった。


教師と生徒の信頼関係が上手く築けていなかったことによって起きた事件が過去(三年前)にあり、二度とそのような過ちが起こさないための対策らしい。


当時、小学生だった私は中学校で起きた事件をネットで見て知っていたから、こんな呪われた中学校に通いたくなくて親に私立受験を希望したけれど、そんな大金を中学校に出す余裕は我が家に無いと簡単に流されてしまった。


こんな中学校、好きで通っているわけではないし好きで聖和中学校の地味な制服を着ているわけでもない。


と、思いつつ一年が経ち

今の私は中学二年生。

クラスは持ち上がりだから担任もクラスメイトも変わらず、つまらない。


職員室以外は冷房完備などされていない地獄の公立中学校。

日当たりの良い場所にあるから夏になると熱中症者が多発する確率が高い。


去年、救急車が何台来たことか…。


それなのに予算が無いのか知らないけれど教室には扇風機が一台あるだけで対策は一切されない。


避難場所にもなっているため高台に建っているのには重々承知しているが、そうならせめて日当たりの良い場所に設立するな…と文句を言いたいが大人が支配している孤立したこの空間に子どもの私たちの声は届かないだろう。


それにしても、長い…

全校生徒は何人いるのか忘れたけれど厚いカーテンで窓や入り口が覆われているため暖かい季節のはずなのに体育館内は夏のように暑く感じる。


学校に着くために坂道を登らないといけないのは一年の時は嫌で仕方がなかったけれど一年経てば仕方ないと諦めた。

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