少女たちの選ぶ道
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先生がやってきて授業が始まるとさっきまでの賑やかさが嘘のように少し静かになるけど、だからと言ってみんな真面目に授業を受けているわけじゃない。
隣の席の人や前後ろの席の人とコソコソ話していたり、手紙交換していたり、違う教科の勉強していたり、寝ていたり、携帯を弄っていたりしている。
殆どが携帯を弄っているかもしれない。
携帯と言うよりもスマホ…iPhone?
私は持ってないから詳しくは優子から聞いた話だけど、どうやらグループLINEというものがクラスであるらしくて匿名悪口大会みたいなのがあるらしい。
私も匿名として悪口を書かれているのかもしれないけど親から携帯は高校からと言われているから見ることは恐らく無いし優子から見せて貰うことも出来るけど知る必要性が感じないから見ようとは思わなかった。
クスクスと笑いながら下を向き携帯を弄ってる奴らは今、そのグループLINEとやらで遊んでいるんだろう。
まぁ、中学二年生は受験生とは違い余裕がある学年でもあるから自由なんだろうな。完全に教師を舐めてるし。
教師と生徒の距離が遠いか近いかと言われれば近いのかもしれないけど、アダ名で呼ばれているからって親しみにがあるというわけではない。
単なる嫌味だ。
担任の長谷部先生の場合だと“はせちゃん”と呼んでる生徒が多い。
私は呼ばないけど。
「それじゃあ、この問題を…優子」
しかも長谷部先生は私たちのことを苗字ではなく名前で呼ぶ。初めは馴れ馴れしいと思ったけれど、このクラスには同じ苗字が複数いるからと知った時は納得した。
でも、問題を生徒に答えさせるのは教師として間違ってはいないけど、その場で答えさせるのではなく席を立ち、黒板に書かなければならないことに関して優子にとっては公開処刑みたいなものだ。
それは優子の背が小さいからだ。
小動物のようとも言われるほど。
つまり高いところが届かない。
今回は優子がギリギリ届くところに問題があり、簡単な数式だから良かったけれど、これが難問かつ高いところに書かれていたらクラスの笑い者だ。
先生に悪気はなくても、たった少しの出来事が人を簡単に傷つける。それほど人は脆くて弱い生き物なんだ。
優子をイジメてる奴らは間違った答えを書くことを望み馬鹿にするように笑いたいんだろうが残念ながら問題に正解した。
つまらないと言いたげのように隠れて舌打ちをした奴らを見るといい気味だと思う。
でも、直ぐに下を向き携帯を弄っているようだったから八つ当たりでグループLINEとやらで優子の悪口を書いてるんだろうな。
ーーY子の癖に生意気…とか??
飽きない奴ら。
こんなことでしかストレスを発散することしか頭に浮かばないなんて出来ないなんて寂しい奴らだ。