少女たちの選ぶ道
結局、自分が可愛くて仕方なくて自分のことしか考えてないんだろうな…
友達とか親友なら何かしらの形で手を差し伸べ助けるはずなのに私はそれをしないから。
認めたくないが傍観者も立派なイジメをしてる奴らの仲間と同じになる。
利用価値のある人は仲間に入れて、用がなくなったり利用価値が無くなればハブるのが当たり前だ。
皆は自分が主人公でありたいし、友達や親友と言いつつ自分の脇役とかしか思ってない可能性もある。
さっきも思ったけど、強いていうなら引き立て役??
私は優子に対してそんなつもりはないけど周りから見れば私も優子を引き立て役にしているように見えるだろうか?
この世に平等なんてない。
あるなら貧富の差なんてない。
他国で戦争なんてない。
なにより平等なら、誰かが誰かを虐げることすら起きないのだから。
見返りを求めず優しくある人ほど、この中学では生活していけない。
* *
「ねぇ、優子」
「なぁに?」
昼休みにあり庭園にもなっている屋上で私と優子はお弁当を食べていた。食堂もあるけど女子の仁義なき戦いに挑むつもりは一切ない。
美味しそうで食べてみたいメニューはあるけど、無駄に体力使いたくない。
「何で、みんな私を警戒するの?」
私自身、良くない性格だと自覚はしているが誰かに何かをした覚えがないからだ。
「沙紀は、怒ると怖いから…」
「…そう?」
「小学校が同じの子たちが沙紀を怒るらせたらいけないって皆に広めてる」
「過去に怒ったこと、あったっけ?」
聖和中学校は三つの区の小学校を卒業した生徒が集まって入学してくる。私を知る人もいて当たり前なんだけど何だか暗黙のルールみたいで嬉しくない。
冷めたお弁当を食べながら私は首を傾げ考えた。小学校の時も今と変わらなかったような気がする。
明るく穏和な性格は違う中学校に通う双子の弟が受け継いでるから、よくわからない。
「小学生ながら有無を言わせないような威圧感を出してたよ?」
「ガキだった私が?」
「沙紀は充分大人っぽかったよ。今も昔も」
可笑しくて声も出ない。
【動】が弟に受け継がれているのなら私は【静】を受け継いでるってことになるのか
双子だからかな?双子じゃなければどちらもあったかもしれないけど今更何考えても意味ない。
別に弟は嫌いじゃないし。
「沙紀は、この後どうするの?」
「家に帰る。猫が待ってるから」
そう言うと優子は頬を緩ませてクスクスと笑った。猫というのが誰を指しているのか知っているからだ。
私も優子も部活をしていない帰宅部。
今日は昼休みが終われば下校。
あぁーあ。始業式だけなんだから昼休みとか抜きにして午前中で帰らせろって文句を校長に言いたい。
始業式の他の中学は午前中に終わりなのに聖和中学校だけ午後下校なんで酷い話だ。