クールな彼の甘い融点~とろけるほど愛されて~


どれだけそうしてたんだろう。

睡眠の浅いところでウトウトとしていたとき、ガチャリとドアが開き、一気に覚醒する。

一瞬、寝ていた気がする……。
マズイと思い慌てて身体を起こすと、そこにはドアを閉める八坂さんがいた。

営業の人は、遅番の時間帯にとることが多いから、これから昼休みなんだろう。

壁掛けの時計に視線を移すと、お昼休みに入ってからまだ十五分しか経っていなくて、胸を撫で下ろした。
寝過ごしちゃったらどうしようかと思った。

「お疲れ様です」と、挨拶すると、八坂さんはスーパーの袋をガサガサしながら私の隣の椅子を引いた。

そして、ビニール袋から取り出したものを、私の前に並べる。
栄養補助食品のゼリーや、プリン、それに、ドリンクタイプの薬。

ぼんやりと眺めていると、八坂さんが私のおでこに手で触れる。
今度は、手のひらで。

熱のせいか、鼓動はもとから速かったから、八坂さんを意識してドキドキしているかは判断がつかなかった。

しばらくそうして「まぁ、下がるわけねーか……」と眉を寄せてから、ゼリーのフタをパキパキと開け、私に渡してくる。

「どっちみち、今日が終われば明日明後日は休みだから。他のヤツに任せられないなら、どうにか乗り切れ」

受け取ったゼリーが冷たくて気持ちいい。

わざわざ買ってきてくれたのか……と思うと、霧がかかったようにハッキリしない頭のなかに、申し訳なさと嬉しさが浮かんだ。


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