きたない心をキミにあげる。









ベッドに固定されたまま、治療の日々が続いた。



最初のうちはショックで食事も喉を通らなかったが、

母の励ましによって、少しずつ食べ物を口にすることができた。



順調に体は回復に向かい、身内以外の面会許可も出た。



「うわ、メガネ取んな。自分でかけるの大変なんだから」


「いや、今泣きそうなのお前に見られたくないし。うー! やべぇ。圭太だ。圭太がいるーっ!」



早速、クラスの友達がお見舞いに来てくれた。


騒がしい声が部屋に響き、耳と体と心がキンと痛んだ。



「うわぁ、痛そう……。全身グルグル巻きじゃん」


「……んーっ! お前、今ギプス叩いたろ!」



よくつるんでいる2人組。もちろん男子だ。


主に俺は、こいつらと弘樹の4人で高校生活を楽しんでいた。



「ほら、あのアイドルがすげーセクシーなグラビアしてたから。買ってきたよ」


「まじ? って全然ぼやけて見えねー! 早くメガネ返せよぉ」



どんな気持ちで友達に会ったらいいか分からなかったけど、

2人が気を遣ってくれていることを感じ、俺もなるべく空気を壊さないよう接した。



もちろんそうできたのは、

友達のテンションの高さに、嬉しさと懐かしさが込み上げたから。



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