きたない心をキミにあげる。
☆
ベッドに固定されたまま、治療の日々が続いた。
最初のうちはショックで食事も喉を通らなかったが、
母の励ましによって、少しずつ食べ物を口にすることができた。
順調に体は回復に向かい、身内以外の面会許可も出た。
「うわ、メガネ取んな。自分でかけるの大変なんだから」
「いや、今泣きそうなのお前に見られたくないし。うー! やべぇ。圭太だ。圭太がいるーっ!」
早速、クラスの友達がお見舞いに来てくれた。
騒がしい声が部屋に響き、耳と体と心がキンと痛んだ。
「うわぁ、痛そう……。全身グルグル巻きじゃん」
「……んーっ! お前、今ギプス叩いたろ!」
よくつるんでいる2人組。もちろん男子だ。
主に俺は、こいつらと弘樹の4人で高校生活を楽しんでいた。
「ほら、あのアイドルがすげーセクシーなグラビアしてたから。買ってきたよ」
「まじ? って全然ぼやけて見えねー! 早くメガネ返せよぉ」
どんな気持ちで友達に会ったらいいか分からなかったけど、
2人が気を遣ってくれていることを感じ、俺もなるべく空気を壊さないよう接した。
もちろんそうできたのは、
友達のテンションの高さに、嬉しさと懐かしさが込み上げたから。