きたない心をキミにあげる。
「俺が……っ、死ねばよかったのに」
ごちゃまぜになった感情を爆発させようとも、
体が痛くて動かない分、声と涙を出すことしかできなかった。
「圭太っ!!」
「つっ!」
パンと母に頬を殴られた。
頬だけじゃなく全身に痛みが広がり、声が出せなくなった。
この大声とバカ力に、いつもの母の姿を思い出した。
「母さん、あんたがいなくなったらどう生きていけばいいか……あんたが意識ない時、どんな気持ちだったか分かんないの!?」
「…………」
「死ねばよかったなんて言わないで! そんなんじゃ弘樹くんも報われない!」
「…………痛ぇ」
「って、母さん殴っちゃった! 圭太、大丈夫? 体痛いのに!」
「痛い……すげぇ痛ぇよっ……うっ」
心と体の痛みによって泣くことしかできない自分が情けなかった。
俺がいなくなれば、母は一人ぼっちになる。
いつもは強い母も、時々疲れた顔や、落ち込んだ顔を見せる。
今、その何倍ものもろさを母の中に見た気がした。