きたない心をキミにあげる。
しかし、弘樹はおもむろに俺から視線をそらした。
これ以上話したくない、というサインだろうか。
『圭太!』
『ぅわっ!?』
急に弘樹は俺の肩に両手を放ってきた。
予想外の強い力に、体のバランスが後ろへと崩れる。
彼の悲しそうな笑顔が、遠ざかっていった。
その瞬間――
急に視界に突入してきたのは、
目の前で止まるはずだった車が、『当たり前』と反して、猛スピードで突っ込んでくる映像。
右足に重たい衝撃が走り、スローモーションで俺の体は宙に浮かんだ。
メガネが外れたせいでぼやけた視界と、薄れゆく意識の中。
車のボンネットを転げ上がり、空へ跳ね飛ばされる友人の姿が見えた、
気がした。