カルマノオト
思い切って左を向き、精一杯の作り笑顔ではにかんで見せる。




石崎先生は、無理して笑う私の顔を見てフフッと笑った。


隠したくても、この緊張感はどうしても露わになってしまう。




「そんな畏まらなくていいよ。

愛車は赤のGOLF。

知り合いからの貰いモンだけど。」




「GOLF……ですか。」




車に詳しくない私でも車種の名前と形くらいはなんとなくわかる。


GOLFのエンブレムはアルファベットが二つ組み合わさったシンプルなもの。




「昔はアルファロメオに乗ってたんだよ。

だけど今は、そんな車に乗れる甲斐性なんてないしなぁ。」
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