御曹司と偽装結婚はじめます!
慌てて子猫を抱き上げようとすると、彼に止められてしまった。


「顔色が悪い。風邪のひきはじめかもしれない」


だから、私をベッドに寝かそうとしてくれているの?


「医者の言うことは、もちろん聞くよね」


彼は突然語気を強めたものの、その言葉には優しさが詰まっていた。
そう言われれば、ここで眠るしかないからだ。


「でも……」

「『でも』じゃない。あとひとつ、忠告だ。男は基本オオカミだ。他の男の家にホイホイついていくなよ」


彼はそう言い残して、部屋を出ていってしまった。


彼の言葉に頭を殴られたけれど、その通りだ。
香川さんがいい人でなければ、私は今頃……。

博美によく『雛子は恋愛経験値がまったく足りてない』と言われるけれど、こういうことも含まれるんだろうな。

猫を助けてくれようとした時点で、彼を信じてしまった。
いや、実際いい人だったけど……。
< 22 / 32 >

この作品をシェア

pagetop