御曹司と偽装結婚はじめます!
首を傾げていると、香川さんがその場でTシャツを脱ぎだして慌ててしまう。


「あぁっ、あのっ……」


ここに人がいるんですけど!


「あっ、ごめん。気にする人?」

はいっ、気にする人です!


「男の裸見たくらいで照れるなんて、もしかして経験少ない?」

少ないどころか、ありません。


こんな質問に余裕の返事ができるほどのスキルはない。
子猫をギュッと抱き寄せ顔をそむけると、別のTシャツをやっと着てくれた彼が近寄ってきた。


「逆、だったか。昨日、いやにあっさりついてきたから、こういうことをよくするのかとなのかと思ったけど……」

「そ、そんなこと……」


そうか、そんなふうに思われていたんだ。


「別に経験がないからといって、悪いと言っているわけじゃない」


『少ない』から『ない』に変わってる……。
テンパったせいで、完全にバレてる。
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