御曹司と偽装結婚はじめます!
そう言われても返す言葉もない。
黙っていると「猫がつぶれる」と言われ、ハッと我に返った。


「つぶしてごめんねー」

「あはは。面白い」


彼はそう言い残して部屋を出ていってしまった。


ミルクをあげたあと子猫と戯れていると、彼が帰ってきた。
どこに行っていたのかと思いきや、有名なベーカリーショップの袋を下げている。


「腹、減ったんじゃない?」


もしかして、私のために?
驚きながらも彼から袋を受け取ると、いろんな種類のパンが入っている。


「俺、昨日忙しくて昼飯食ったの夕方だったから気がつかなかったけど、雨宮さん、夕飯食ってなかっただろ」

「あっ、はい。でも、披露宴でたくさんいただいたので……」


そう言った瞬間、お腹がギュルルと音を立てるから、恥ずかしくてうつむいた。
すると彼は笑いを噛み殺している。
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